クロスボーダー決済の最適化手段
世界中で商品を販売することはかつてないほど簡単に行えるようになりました。オンラインショッピングとそれを支えるクロスボーダー決済のおかげで世界のEC産業は35兆ドルという巨大な市場となり、その勢いは衰えることを知りません。
EC業界の成長が止まらない中、ビジネスと消費者はより大規模かつ便利なECのクロスボーダー決済のソリューションを求めています。複数の決済方法と厳重なセキュリティの提供はクロスボーダー決済を通して高いコンバージョン率を獲得するためにはいずれも欠かせません。
今回のブログではECブランド向けのクロスボーダー決済について知っておくべきこと、そして売上と利益アップのためのクロスボーダー決済の最適化方法をご紹介します。
ECにおけるクロスボーダー決済とは
クロスボーダー決済とはそれぞれ異なる国にいる買い手と売り手の間で行われる取引のことです。しかしEC業界に特化したものではなく、銀行送金やクレジットカード払い、モバイル支払い、デジタルウォレット取引などもクロスボーダー決済に含まれます。
クロスボーダー決済の主な2つの種類についてご紹介します。
- ホールセールクロスボーダー決済 — 金融機関が主に使う決済方法です。政府機関もさまざまな金融市場で巨額の取引を行うためにホールセールクロスボーダー決済を使用します。
- リテールクロスボーダー決済 — リテールクロスボーダー決済は国をまたいで個人間やピアツーピア、B2B、D2Cでの金融取引が行われる場合に使われます。
次のセクションではクロスボーダー決済の仕組みについてご紹介します。
クロスボーダー決済の仕組み
クロスボーダー決済では、通貨は物理的に他の国に移されるのではなく、また国内の決済も通常他国の金融システムには連動していません。グローバルに展開している銀行が各国用の口座を作ります。
クレジットカード、デジタルウォレット、銀行送金がもっとも一般的なクロスボーダー決済の方法です。特にクレジットカード払いがECサイトで商品を購入する消費者にとっては一番簡単な決済方法です。
クロスボーダー決済のメリット
ECビジネスでクロスボーダー決済を取り入れることにはいくつか重要なメリットがあります。
まず、新しくて画期的な商品を海外から購入することは消費者にとって非常に魅力的であり、コンバージョン率やブランド認知度が向上します。それ以外のメリットについて、分かりやすいものとそれではないものを含め見ていきましょう。
グローバルブランドの構築
ECがあればターゲットは小さなエリアに限定されず、国内に住んでいる人すべての商品を売ることができます。さらにクロスボーダー決済が可能になれば世界中の人々をターゲットにすることができます。その結果、あなたはグローバルブランドを構築でき、より多くの利益を生み出せます。
また、地域ごとに人気のあるクロスボーダー決済方法が存在します。人気のある決済方法をECサイトに追加し、ターゲット地域でのブランド認知度を向上させ、堅固な顧客基盤を築きましょう。
顧客体験の向上
コンバージョン率アップには最高の顧客体験の提供が欠かせません。事実、消費者の73%が顧客体験が商品購入における決め手だと回答しています。売上を増やし、忠誠心の高い顧客基盤を築くためには優れた顧客体験が求められます。
そのための方法の1つに便利かつ多様な決済方法の提供があります。決済方法が多く用意されているほど消費者は商品を購入しやすくなります。クロスボーダー決済のもう1つの大きなメリットに為替手数料の軽減があります。
クロスボーダー決済をうまく取り入れることができれば、あなたのビジネスにとってもユーザーにとってもお金と時間の節約になります。誰にとってもメリットのある決済方法です。
決済のセキュリティの向上
決済の安全性は消費者とビジネス、そしてブランドの評判においても非常に重要です。クロスボーダー決済の中には従来のECの支払方法よりも安全なものがあります。
PCI DSSのレベル1セキュリティを有し、そのコンプライアンスに準拠している決済サービスプロバイダーであればビジネスと消費者両者にとって安全なクロスボーダー決済を提供できます。
労働者の満足度
クロスボーダー決済のもう1つのメリットに労働者の利便性の向上があります。クロスボーダー決済を取り入れることで海外にいる従業員やフリーランサーへの支払いがより簡単かつ早くなります。
しかし世の中に完璧なものはありません。クロスボーダー決済についてもそれは同じです。クロスボーダー決済に本格的に取り組む前にその欠点を理解し、マイナス面を抑制したうえで最適化に臨みましょう。
クロスボーダー決済の主な欠点
クロスボーダー決済の欠点を理解することで海外のユーザーとの取引を最適化することができます。次のような点に注意しましょう。
- 地域性 — 決済方法に対する消費者の好みや購買習慣は国によって大きく異なります。複数の国の消費者をターゲットにする場合は彼らの好む決済方法を調べるようにしましょう。
- 金融規制 — クロスボーダー決済のプロセスは国内の決済と比べてより厳しく、複雑な規制に縛られています。さらに、取引に時間がかかると販売プロセスにも支障が生じ、顧客体験も損なってしまいます。また、新しい決済方法を導入する前に為替手数料が利益率を低下させないかよく検討する必要もあります。
- フロントエンドとバックエンドの問題 — 海外との取引を取り入れる場合、フロントエンドとバックエンドのソリューションにおいてフラグメンテーションが起きる可能性があるので海外のソフトウェアとの一定の互換性が求められます。
EC事業者にとって朗報なのは、これらの主要な問題がそのまま放置されているわけではないということです。
2020年のG20サミットではクロスボーダー取引の改善が優先事項として設定されました。コストとスピード、透明性の改善に対する3段階プロセス、そしてクロスボーダー決済ソリューションへのアクセスがサミットで承認されました。
クロスボーダー決済最適化のおすすめの方法
欠点はあるものの、クロスボーダー決済はECブランドの成長と売上において素晴らしい機会を提供してくれます。これからご紹介する最適化の方法を活用してより多くの利益を獲得し、顧客満足度も向上させましょう。
#1. ターゲット地域で使われている決済方法と好みを知る
新たな決済方法に投資する前に、それがターゲット地域のニーズと一致しているか確認しましょう。
たとえば、オランダでは多くの消費者がiDEALと呼ばれるオンライン銀行決済を好んでいます。中国ではeWalletsやWeChat、そしてAliPayが好まれています。カナダとアメリカではクレジットカード払いがよく使われています。
#2. パーソナライズ、ローカライズしたショッピング体験を提供
ローカライズしたショッピング体験の提供はブランドロイヤリティの構築と継続的な売上において非常に重要です。また、慣れている決済方法で商品を購入できることで消費者はあなたのブランドを信頼しやすくなります。
さらに、消費者は彼らと同じ言語を使うECブランドを好みます。パーソナライズ、そしてローカライズしたショッピングを提供することであなたのブランドは優位性を獲得し、コンバージョン率を上げることができます。実際に、ある調査に参加した消費者の92%は現地通貨で価格が表示されているECサイトを好むと回答しています。
ユーザーの現地通貨で商品価格を計算することは彼らの時間の節約になりますし、購入の意思決定もしやすくなります。幸いこの計算をEC事業者自身でする必要はありません。指定の通貨に自動的に換算してくれるプラグインがたくさんあるので、それらをECサイトに導入しましょう。
さらに、ウェブサイトを複数の言語に翻訳してくれるプラグインもあります。地域ごとの祝日やイベントに合わせたキャンペーンや価格を設定したり、オーダーメイドの配送オプションを設定したりできるプラグインもあります。
これらのプラグインを活用することで安く、そして迅速に異なるローカル市場を検証してから堅固なクロスボーダー決済戦略に投資することができます。
#3. マルチカレンシーソリューションへの投資
「現金が最強である」と言われることがありますがクロスボーダー決済においては通貨が最強であり、コンバージョン率を左右する存在です。
クロスボーダー決済サービスプロバイダーと提携する場合、マルチカレンシー機能を提供しているプロバイダーを検討するようにしましょう。マルチカレンシー機能は顧客体験を向上され、コンバージョン率アップにつながります。
また、複数通貨がサポートされていることでカード会社の支払拒否が起こるリスクを減らすこともできます。いずれにせよ、クロスボーダー決済を取り入れるのであれば積極的に活用しましょう。
#4. 容易なAPIの統合
統合が簡単なAPIを提供する決済サービスプロバイダーは海外展開に向けてウェブサイトを拡大する場合に不可欠な存在です。クロスボーダー決済サービスプロバイダーを探す場合は、必要に応じてマーケティング活動をサポートするためのソリューションをすぐに追加できるプロバイダーを見つけましょう。
クロスボーダー決済に関するまとめ
クロスボーダー決済があれば世界中のより多くの消費者にリーチすることができます。今日の競争の激しいEC業界ではユーザーの満足度を高め、ビジネスを成長させるために複数の決済方法を用意しておく必要があります。
ターゲットオーディエンスの好む決済方法を理解し、クロスボーダー決済サービスプロバイダーがあなたのビジネスの将来に提供してくれる可能性を知りましょう。また、マルチカレンシー機能のある決済プロバイダーを選ぶようにしましょう。便利な決済方法を提供することで顧客満足度は上がり、信頼とロイヤリティの構築にもつながります。
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