ローカルまたはグローバルオーディエンス向けのマーケティングについて知っておくべきこと

家に居ながらにして欲しいものが何でも手に入るすばらしい時代。もはや家は世界中のどこにでもあると言っても過言ではありません。そのためEC業者にとって、ローカルのオーディエンスとグローバルのオーディエンスに向けたマーケティングについて、そして各々の戦略の長所と短所を理解することは必要不可欠です。

まずは、ローカルマーケティングとグローバルマーケティングの意味と、各々の戦略をキャンペーンにどのように取り入れるかについて見てみましょう。

ECにおけるグローバルマーケティングとは

グローバルマーケティングとは、ターゲットオーディエンスがどこにいても対応できる広範囲に及ぶマーケティングを指します。例えば、ウェブサイトのホームページはグローバルマーケティングの一例です。ウェブサイトやグローバルマーケティングの資料は、貿易や商取引の世界共通言語である英語で作成されることがほとんどです。

一般的に、グローバルマーケティング戦略はブランドの認知度を高め、多くの人々に販売を促進するのに適しています。よって英語を母国語としないEC事業者は、海外のオーディエンスに向けたマーケティングメッセージ翻訳の必要が出てくることがあります。

ECにおけるローカルマーケティングとは

ローカルのECマーケティングは、グローバルなマーケティング戦略よりもターゲティングとメッセージングに集中したアプローチが必要です。またローカルキャンペーンでターゲットとするオーディエンスは、キャンペーンそのものとブランドの目標によっても程度は異なるもののより小規模になります。

例えば、オーストラリアのECブランドが南フランスの人々に送るセールスメールは、ローカライズされたマーケティングキャンペーンの一例です。このブランドはマーケティングメッセージのほとんどを英語で作成しますが、メールはフランス語でも作成します。

このように最大の成果とコンバージョンを得るためには、ローカルマーケティングキャンペーンはターゲットオーディエンスの言語で書かれる必要があるのです。また、現地の習慣や文化的規範を考慮した資料も必要です。

ローカルマーケティングキャンペーンは、グローバルマーケティングよりもはるかに複雑です。グローバルマーケティングキャンペーンとローカルマーケティングキャンペーンの内容は表面的には同じに見えるかもしれません。しかし細かいところに落とし穴があると言いますから、その細部を対象地域の文化的規範や感性に合わせて調整する必要があるのです。

多くの場合、EC事業者はローカライズされたキャンペーンを行うために、対象地域の母国語と慣習に精通したマーケターを起用することが重要となります。

統計データ

ローカルまたはグローバル、どちらのマーケティングキャンペーンを行うかどうかは多くの要因に左右されます。そのなかで、以下のテーマに関する最新の調査や統計に目を向けることもおすすめです。

  • 72%の顧客が、母国語で書かれたウェブサイトから購入することを希望している
  • 英語版ウェブサイトは、世界の顧客の約25%にしかリーチしていない
  • 56%の消費者が価格よりも現地のコンテンツを重要視している

ローカライズされたマーケティングキャンペーンに取り組む企業は最終的に、そうでない企業に比べて最大で1.5倍の利益を上げることができています。

もちろんグローバルマーケティングも必要ですが、ローカルマーケティングに投資した方がより効果的な場合があることも考える必要があります。

どのようにローカルマーケティングキャンペーンとグローバルマーケティングキャンペーンを使い分けるべきか

ローカルとグローバルのどちらのマーケティングキャンペーンを行うかは、どちらのタイプのコンテンツがターゲットとするオーディエンスをより惹きつけるのかということに尽きます。

ローカルコンテンツマーケティング

特定の地域の特定のオーディエンスに対してブランドの認知度向上と売上拡大を推進したいのであれば、ローカルマーケティングキャンペーンを展開すべきということは言うまでもありません。

しかし、グローバルオーディエンスに向けたオンラインプレゼンスを維持することも必要です。また、グローバルコンテンツをローカルに対応するコンテンツに作り変えるには労力とコストがかかることも理解しておく必要があります。

グローバルコンテンツの選定

グローバルコンテンツは海外のオーディエンスにアピールしたい場合に有効な手段です。一般的にグローバルコンテンツは、オーディエンスの大半に理解され、場所に依存しないものであるべきと言われています。

ECの新興企業にとって朗報なのは、マーケティング用のグローバルコンテンツは、ローカルコンテンツよりも製作コストが低いということです。しかしグローバルコンテンツの問題は、それがしばしば一般的であり、当たり障りのないものであるということです。

そのため、より詳細なターゲット層を惹きつけ、つながりを持つことに苦労するかもしれません。一般的なグローバルコンテンツへの投資だけでは売上やオーディエンス層の拡大を逃すことになります。

グローバルマーケティングとローカルマーケティングの共通点

グローバルマーケティング戦略とローカルマーケティング戦略には多くの共通点があります。例えば、あなたのECブランドがすでにクリック課金型広告であるPPC広告で成功を収めている場合、よりローカルなオーディエンスをターゲットにするために戦術を大きく変える必要はないでしょう。その逆もまた然りです。

要するに、ローカルな販売やマーケティング手法できちんとしたキャッシュフローを生み出しているのであれば、あなたのシステムはすでにある程度機能していると考えられます。その場合、少し手を加えるだけでグローバルオーディエンス向けのキャンペーンにもうまく応用できるかもしれません。

より多くのオーディエンスをターゲットにするために、キャンペーンの戦略を変える必要はありません。通常、言語や文化に関する記述を少し変えるだけで効果があります。ただし、国によって買い手の心理が異なる場合があるのでその点は考慮する必要があります。

何であれ、ローカルまたはグローバルマーケティングキャンペーンで良い結果を得ている場合はうまくいく方法を貫いてください。ほんの少し手を加えるだけで、ローカルオーディエンスに合わせたスケールダウンも、より広い範囲のオーディエンスに合わせたスケールアップも可能なのです。

なぜローカルマーケティングのコンバージョンレートはグローバルキャンペーンに勝るのか

ローカライズされたマーケティングキャンペーンはターゲットオーディエンスをより絞っているため、一般的にグローバルキャンペーンよりも優れています。検索エンジンのアルゴリズムも、主にPPC広告などのローカルマーケティングキャンペーンの推進に役立っています。

魅力的なPPCテキスト広告をオンライン上の誰かに表示することであなたのWebサイトへのクリックを促します。しかし、あなたのウェブサイトのランディングページがターゲットオーディエンスに合わせて調整されていない場合は、購入まで辿りつかずウェブサイトへのトラフィックの増加のみに留まることになります。

クリック数が多いのに売上が上がらないというのは災いを招く元であり、広告費を無駄に消費してしまうことになるでしょう。広告やランディングページをターゲット層にローカライズすれば、クリック数だけでなくコンバージョン数も増加させることができます。ローカライズされたマーケティング戦術によって、広告費を節約しながら売上を伸ばすことができるのです。

ローカライズマーケティングのポイント

ローカライズされたマーケティングキャンペーンを設定することは、ECブランドを売り出す際の他のマーケティングキャンペーンで行うことと似ています。違うところは、ROIを最大化するためのキャンペーンの立ち上げや実行に必要なリソースです。

以下では、ローカライズされたマーケティングを行うためのポイントをご紹介します。

#1. 地域のターゲット市場の調査

グローバルなマーケティングキャンペーンでは、潜在顧客がどこに住んでいるかは重要ではありません。しかしローカルマーケティングではよりターゲットを絞り、どこでキャンペーンを行うかを決定する必要があります。

そこで、ターゲットとする顧客層と彼らが最も購入しそうな商品を調査します。商品によっては特定の場所でより良いパフォーマンスを発揮するものもあります。あなたの商品が必要とされる場所を特定し、その場所から始めましょう。  

#2. ターゲット市場を理解する

何年も前、KFCという会社が中国に進出することになりました。しかし残念なことに、アメリカに本社を置く同社のスローガンである「finger-lickin' good(非常に美味しい)」が、「eat your fingers off(指を食いちぎる)」と誤訳されてしまったのです。この不手際でKFCは少し顔に泥を塗ることになりましたが、それでも今日中国でトップクラスの飲食店となっています。

ターゲット市場の文化的規範を考慮しないと悲惨な結果を招きかねません。そうならないよう、ターゲット市場を理解して適切な翻訳をすることに注力するようにしてください。たった一度の不適切な表現でブランドのイメージが完全に崩壊してしまいます。

#3. アウトソーシング

社内でできる調査には限りがあります。多くの場合、キャンペーンの実行に関わる特定の作業はターゲット市場に精通したプロフェッショナルにアウトソーシングすることになるでしょう。

これはつまり、マーケティングメッセージの作成をネイティブスピーカーに依頼することを意味します。ローカリゼーションの専門家と提携することで、キャンペーンがオーディエンスに的外れな印象を与えず、翻訳によって意味が失われることもありません。

#4. ローカルSEOの活用

アルゴリズムはあなたの味方です。適切なキーワードは、あなたのコンテンツを検索エンジンの結果ページ(SERPs)の上位に押し上げることに役立ちます。ローカルマーケティングキャンペーンを行う際には、ローカルSEOを研究し活用しましょう。ローカルキーワードをコンテンツに組み込むことで、ターゲット市場のローカルの検索者に確実に広告が表示されるようになります。

以下のものに位置情報を入れましょう。

  • ハッシュタグ
  • 位置情報タブ
  • キャプション

また、ローカルのレビューサイトにあなたのビジネスを追加してください。はじめはYelp、Bing Places、Yahoo Local、FourSquareなどがおすすめです。また、今日ほとんどの人がモバイルデバイスで買い物をするためウェブサイトがモバイルフレンドリーであることを確認する必要もあります。

まとめ

適切な調査や計画、投資を行えば、ECブランドをグローバルからローカルへ、またはその逆へと簡単に移行させることができます。すでにグローバルなコンテンツがうまく機能しているのであれば、それをよりローカルなオーディエンス向けに微調整する方法を検討するのがよいでしょう。

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